おはようございます。
先日の記事で紹介した「オニールの成長株発掘法」の内容について、アウトプット&インプットのために少しずつ記事にしていこうと思います。
オニールは過去100年以上の株式市場を分析していくうち、大成長を遂げた銘柄に共通する特徴を発見し、その頭文字をとって「CAN-SLIM」と名付けました。
本日は「CAN-SLIM」の2文字目、
A(Annual Increases=年間EPSの増加)についてご紹介します。
年間EPSに注目
どんな企業でも、一時的に良い決算を発表することはある。当期四半期のEPSの上昇は、株式市場で大化け銘柄を発掘するには欠かせないものだが、それだけでは不十分である。
最新の報告が一時的でないこと、そして株式の購入を検討している企業の質が高いものであることを確認するには、もっと証拠を集めなければならない。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
- 年間EPSが3年連続で増加している銘柄を探す。
- 2年目にEPSが低下したものは、たとえ3年目が過去最高水準でも、選択肢から外したい。
「直近数四半期で高いEPSの増加を示していること」と「ここ数年で着実に成功していること」がそろって初めて大化け銘柄が生まれる。
年間EPSの増加率が25〜50%以上の銘柄を選ぶ
株を買うなら、年間EPSの増加率が25%, 50%, あるいは100%以上のものを選ばなければならない。
我々の研究結果では、1980〜2000年の全発行済み株式の初期上昇段階における平均の年間EPSの増加率は36%であった。大化け銘柄の4銘柄のうち3銘柄が、大きく株価上昇をする前に、最低3年から長くて5年の間にある程度の年間EPSの増加率を示している。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
ROEが高い銘柄を探す。
我々は研究を通して、過去50年で急成長を遂げたほぼ全銘柄が、最低でも17%のROEを示していたことを突き止めた。(なかでも特に優れた大化け銘柄のROEは25-50%ほどになる)
また、企業のキャッシュフローを見極めるには、内部で発生する現金の額を反映させるために企業の減価償却費を加えて計算する。大化け銘柄の中には、実際のEPSと比べて、一株あたりの年間キャッシュフローが20%以上も大きい銘柄がある。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
ROEは自己資本利益率のことで、「(当期純利益÷自己資本)x100」で計算できます。
自己資本を用いてどれだけ効率よく稼げているかを示す指標で、ROEが高い企業は「儲けるのが上手な企業」ということができます。
自己資本比率が低い企業、つまり借金が多い会社だと、ROEが高くなるので注意が必要です。
正常な株式市場サイクルとは?
これまでの歴史を遡ると、ほとんどの強気相場は2-4年続いたあとに、景気後退や弱気市場に見舞われ、その後新たな強気相場に突入する。(中略)
過去の大化け銘柄をみると、4分の3は成長株なのだが、4分の1は景気敏感株や企業再生株だった。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
成長株というと高PERのハイテクグロース株を思い浮かべますが、歴史的には大化け銘柄の25%が景気敏感株や割安株だったということには驚きました。
企業再生株を探すなら、少なくとも年間EPSの増加率が5〜10%を示し、さらに2四半期連続で急速にEPSが回復して直近12ヶ月のEPSを最高水準にまで引き上げてくれる企業を選ぶことだ。
株式チャートで12ヶ月間のEPS推移を確認してみると良い。EPSの増加率が急であるほど望ましい。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
同一業界内の負け組を除外する
3年連続のEPSの増加を銘柄選択の条件にすれば、それだけである特定の業界内の銘柄の8割を除外することができる。どの業界も、ほとんどの銘柄の成長率は、冴えないものや、全く成長していないものばかりである。
過去3年間のEPSの増加率が30%と素晴らしい記録を持つ企業でも、直近の数四半期のEPS増加率が10〜15%ほどに減速している銘柄は、完全に成長が止まった成熟株だと言える。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
過去3年間のEPS増加が素晴らしくても直近数四半期で増加率が低下している場合は、投資先に入れるか考える必要がある、ということでしょう。
年間EPSと当期四半期EPSがともにずば抜けた企業を見つける
近年の安定したEPSの増加と、直近数四半期のEPSの増加がともに優れているものでなければ傑出した銘柄とは呼べない。これは一方だけでは不十分で、両方の重要な要因が重なることで、協力な大化け銘柄や、少なくとも成功する可能性が高い銘柄が生まれる。
PER(株価収益率)は重要か?
PER(Price Earnings Ratio)=「時価総額÷純利益」もしくは「株価÷一株あたり利益(EPS)」
で求められます。
筆者によれば「PERを売買の道具とするのは誤っている」とのことであり、銘柄選択で最も重要視するべきなのはPERではなく、EPSの変化率が著しく増加しているか減少しているかだけだそうです。
成長株のPERははじめはだいたい25-50倍で、それが60-115倍まで上昇している。
1990年代後半の市場高騰で、この数値はさらに高くなった。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
繰り返しになりますが、「PER=株価÷1株あたり純利益(EPS)」です。
株価とEPSは独立した変数ではなく、EPSの増加を織り込んで株価が上昇します。将来の企業成長への期待が高ければ高いほど株価は上昇し、結果としてPERが上昇するということです。
筆者も「PERはEPSが増加することで現れる末端効果」であり、「市場全体が急上昇する強気相場では、ある銘柄のPERが高すぎるという理由だけで選択肢から外してはならない。」と述べています。
「PERが低いから割安、高いから割高」という二元論的な判断は間違っているということでしょう。
オニールがPERを使う時
筆者はPERをある方法で使うことがある。それは、成長株が今後6-18ヶ月の間にどれほどの伸び幅を達成することができるかを、その銘柄の将来の収益の見通しを基に予測する時である。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
例えば、
- 今後2年間の収益の見通しの数値を、
- その銘柄のチャートでみつけた最初の買いポイント時点のPERの数値でかけ、
- そこで得た結果に100%か100%強をかける
としています。
この計算は、成長株が大きく値を上げたときに、平均的にPERがどの程度上昇する可能性があるかを測定するものである。ここで得た数値は、強気相場で成長株がどのような株価で売れるかを予測する。
ただし、強気相場や成長銘柄でもPERがあまり上昇しないことやほとんど上昇しないこともある。
オニールの成長株発掘法【第4版】から引用
例:ある銘柄が43.75ドルの時に最初のベースをブレイクアウトし、最初の買いポイントにおけるPERが40倍だった(②)と仮定する。この場合、40に130%をかけて(③)得た数値=52 が今後の株価の伸び幅となり、もしこの銘柄が大きく上昇することがあればPERが92倍にまで伸びる可能性があることがわかる。
次に、92倍という将来のPERの予測値に、EPSが1.45ドルという2年後の見通し予測(③)をかける。この結果出た数字は、その成長銘柄の株価がどこまで上昇する可能性があるかを示す。
まとめ
以上の事柄をまとめると、
- EPSが過去3年連続で25~50%増加している。
- 直近四半期でEPSの増加率が減少していない。
- ROEは最低17%以上。
- PERが高いだけで候補から外してはいけない。
といったところでしょうか。なかなか厳しい条件ですね。
ただ、自己資本比率が低ければROEは高くなってしまうので、自己資本比率が低すぎないか確認することも重要だと思います。借金でレバレッジをかけて事業を拡大していくのは悪いことではありませんが、一歩間違えばキャッシュ不足により倒産のリスクが高まるということは覚えておくべきでしょう。
以上、参考になれば幸いです。
ではまた。
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